2015年3月17日火曜日

曖昧な対応でご迷惑をおかけ致しておりましたが
当面の間地方発送を中止させていただきます。
HPからのリンクも外しました。
電話の対応が悪い
接客態度がなっていない
新作を作る隙があるのになぜ地方発送出来ないのか?
地元のお客様が大切で、地方はそうではないのか?
等々、様々なご意見を頂戴しています。

ご要望にお応え出来ず大変申し訳ないのですが
今の状態が私どもの精一杯です。
これ以上のことは私どもでは出来かねます。
現状のtoujoursでお気に召していただけないのであれば、
この先もお客様に満足を提供することは
ウチでは到底出来ません。
他にもガトーアラブロッシュを販売しているお店も
沢山ありますし、
より経営体制のしっかりしたお店さん、
サービスの充実した百貨店さんなどもございます。
そういった店舗でお買い上げいただいた方が
必ずご満足いただけることと思います。
売買とは等価交換だと思っています。
ヒトが何かしらの労働によって得た賃金を、
それに見合う価値のあると認める商品と交換する。
ヒトが自分の労働を込めた商品を、
それに見合う価値の御銭と交換する。
お互いが「価値がある」と納得して初めて等価になります。
そこには商品の持つ力だけではなくて、
包材、空間、サービス...様々な要素が加味されるとは思います。
しかし、それはお店によって様々です。
街にあるブティックと田舎のお店を
同じ物差しで比べるのはナンセンスです。
結局最後は人と人、
「この人が作ったものなら、この価値があるだろう」
「この人なら詰め込んだ仕事を理解して下さるだろう」
そういったお互いの思いが繋がって
はじめて等価交換なんだと思います。
そうでなければ、必ずどちらかが悲しい思いをする。
私どもが作っているものは嗜好品です。
少しでも多くのお客様に
喜んでいただきたいとの思いで仕事をしておりますが
全てのお客様に満足いただけるとは思っておりません。
生意気かもしれませんが
上記のような「等価交換」に共感していただける、
そんなお客様との関係を、ひとつひとつ築きながら
細く長く続けていけるお店にしたいと
私は思っています。
こんな文章、読まれて不快に思われる方もおられるでしょうし
本当は自分の中で大切にしていればいいことだと
思ってきました。
言葉にしすぎると碌なことがないのも
承知しているつもりですが
あまりにもモチベーションが下がり
仕事に集中出来ないことが続いたため、
自分の覚悟を決めるためにも記させていただきました。
ご理解いただけますと幸いです。
今日、杏の花が開きました。
ミツバチも沢山飛んでいます。

2015年3月11日水曜日

プラリーヌ




今日は<プラリーヌ>を仕込みました。
このお菓子を作る度に、勤めていたお店を
逃げ出した過去を思い出します。
自分の仕事の出来なさに耐えられなくなって
家に引き蘢りました。
ウチにいても、外に出ても
何をしていても辛くて
気が紛れることはありませんでした。
気がつくと、お菓子の本を読み漁っていて
目に止まったこのお菓子を
家にある小さな手鍋で作ってました。
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〜作り方〜
バニラビーンズを入れたシロップを煮詰め
程良くローストしたアーモンドを入れます。
木杓子で暫くかき混ぜると、
シロップが徐々に再結晶化していき
アーモンドが糖衣で覆われます。
サラサラになるまで根気よく混ぜ続け、
完全に結晶化したら笊でふるって余分な糖衣を落します。
アーモンドを鍋に戻し、ふたたび火にかけて混ぜ続けると
まわりの糖衣が少しづつ溶けてキャラメル化してくるので
笊でふるい落とした糖衣を数回にわけて、加えては混ぜます。
こうすることでアーモンドのまわりの糖衣が
徐々に厚くなっていきます。
糖衣には最初に入れたバニラの香りの他に、
アーモンドの香りも移りますし
火にかけ続ける中でキャラメルの香りも出てきます。
程良く糖衣が絡み、アーモンドにも火が入ったところで
鉄板などに広げて、冷めれば完成です。
アーモンドと糖衣のカリッとした心地よい食感、
香ばしさ、バニラの甘い香りが口中に広がります。
ついつい次の一粒に手が出てしまう
魅惑のコンフィズリー(砂糖菓子)です。
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アパートの狭い台所で、
小さな鍋から何度もアーモンドが転げ落ちるのを
拾っては入れ、拾っては入れして
混ぜ続けました。
作り終わったころには部屋中に
バニラとアーモンドの香りが充満していました。
プレステしてても、
本を読んでも
公園を散歩しても、
街に出ても、満たされることはなかったのに
この時はもう無我夢中でした。
やっぱりお菓子が作りたいんだな、と
その時ハッキリわかりました。
そんなことがあったので、
いまでもこのお菓子を作るときには
逃げ出した自分の弱さや
まわりの人にかけた迷惑や、
いろんなことを思い出して
なんとも言葉で言い表せない気持ちになります。
責任者になったり、自分でお店を構えてみて、
途中で投げ出すってことが
どれだけお店に迷惑をかけるのかとか
正面から向き合ってくれる人に
どんなに失礼なことなのかとか
もうホントに気付くの遅くって
自分でも嫌になるんですけど
わかってきた気がします。
消すことのできない過去に向き合って
これからをどうやって良いものにしていくのかを
いつも考えさせてくれる、そんなお菓子です。
なんか暗い感じになっちゃいましたが
たまらなくおいしいお菓子ですので
是非一度お試し下さい!