2014年9月16日火曜日

母のおにぎりとクレープ

9月も半ば、各地で運動会が催されている様子を
友達の投稿で目にします。
運動会で思い出すのが、母が作ってくれたお弁当に入っていた
薄焼卵で包んだこのおにぎり




普段のお弁当には滅多に入ることはなくて、兄や姉の中学校の運動会に
家族みんなでいったとき位だったかな?
これが入ってると、滅多に口に出来ないから
奪い合いになったようにも思うし
かなりテンションが上がったのを覚えています。
卵焼きとおにぎりを一緒に食べれば良いじゃん...と
思われるかもしれませんが、これがまた違うんですよね。
卵の味付け具合、焼き加減で印象も大きく変わります。
母のそれは出汁巻きに近い味わいで、やさしい卵の香り。
焼き色も薄く、ご飯を咀嚼すると同じスピードでほどけていく。
母の作ってくれるこの加減が僕はいちばん好きでした。





見た目はまったく違いますが、僕の作るクレープ生地、
咀嚼する時のほどけ方、中に入れた具材との調和の取り方は
まさにこのおにぎりのイメージそのものなんです。

基本的には材料を順番に混ぜていけば、誰でも失敗することなく
クレープの生地を作ることはできます。

しかし、どんな小麦粉を使うのか?(蛋白質の量や性質、灰分の割合など)
液体と粉を混ぜるとき、どんな水分量でどのくらいの強さで何回混ぜ
どんなグルテンを作るのか?
材料の温度、油脂を混ぜ込むタイミングはいつにするのか?
クレープパンもテフロン製か鉄なのか?
という、いくつもの分かれ道があり、そこでどれを選択するかで
出来上がりは大きく違ってきます。(個人的な感覚ですが)

僕の持つおいしいクレープのイメージは
卵のやさしい香りは残しつつ、香ばしさを出すために
焼き色はしっかり目に付ける。
少しモチッとした食感も出しながら、咀嚼すると
柔らかい中味と同じように口溶ける生地...
というところを目指しています。

先日そんな思い出話を母にしたところ、
作って持ってきてくれました!
実に二十数年ぶりに食べました。
口に含むと昔食べたころの情景が
ブワァ〜と甦ってくるんですよね。
よくこんなに手間のかかるものを作ってくれてたなぁと
今更ながら感謝の気持ちで一杯です。

消えることのない幼少期の舌の記憶が
自分のクレープ作りに生きています。











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